・・・栃木県立図書館レファレンス事例・・・
  フランス語で存在理由を意味する「raison d'etre」という言葉がある。末尾の「re」は発音は消音で発音せず、「レイゾンデイト」と読むと思っていた。しかし最近「レイゾンデイトル」というカタカナ語として使われているのを耳にした。どうして「ル」がついたのか、理由を知りたい。
 A
 『imidas』『知恵蔵』『現代用語の基礎知識』をあたるが記述が見つかりません。
1 『コンサイスカタカナ語辞典』(三省堂編修所/編 1994)には「レゾン・デートル」と記述があります。
2 『カタカナ語新辞典』(津田武/編 旺文社 1997)でも「レゾンデートル」、
3 『日本語になった外国語辞典』(飯田隆昭/共著 山本慧一/共著 集英社 1994)では「レーゾン・デートル」
4 『平成版カタカナ語新辞典』(成美堂出版 1991)も「レーゾン・デートル」 と記載がありました。

なお、補足として、フランス語の発音について確認したところ、『携帯〈万能〉フランス語文法』(久松健一/著 駿河台出版社 2000)に、以下のような記述がありました。

○05 文字と音@ (p12-13)
eについて「語末のeは無音」とあります。

○補遺B 音節・句読記号 (p26-27)
フランス語の音節について、「原則として、『子音+母音(単母音字または複母音字)』で
1音節を作ります。(『半母音を表す母音字』、『母音字に続く無音のe』、『語末のe』は独立の音節を構成しません。)」と記述されています。

以上の記述によると、raison d'etreにおいて発音されないのは、語末の「re」ではなく「e」となります。他にも、母音や子音の組み合わせや語順などにより、特殊な読み方・省略をする場合がありますが、文法書に出てくる原則の中で、「re」を省略するということは確認できませんでした。

さらに、上記資料の「04 文字を読むルール(p10-11)」には、「フランス語では語末に置かれた子音字の大半が読まれないのです。」「子音字〈c,r,f,l〉は語末で読まれる例が多々ありますので注意してください。」とあるので、語末が「er」となるときは、「r」が発音されないことがあるようです。

また、補遺C「カナ発音表記について」では、現在市販されている仏和辞典のカナによる発音表記がそれぞれ違うことに触れ、「音声学的なルールに従った規範的な発音表記を重視する辞書」、「慣用、あるいは実際の発音に即したあり方(あるいは実態調査の結果)」など、辞書ごとで採用する方針によって、表記が変わってくると述べています。

これらを踏まえ、「フランス語の特性を知っていてカナ発音を利用すれば問題は少ないのですが、それを知らずにいると、(中略)同じ単語をまったく別の読みが行なわれる語であるように読者が錯覚する危険があります。」と記述されていました。
2004/10
キーワードカタカナ語
分野言語
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